学び続ける力 (講談社現代新書) (日本語) 新書 – 2013/1/18
付箋数:4
満足度:★★★
学び続ける父親
学び続ける力とは何だろうか。
この本の初めには学び続ける人の例として、著者の父親が登場する。
父親は、退職後、通訳ガイドとして活動するために会社の後に自宅で資格の勉強をしていた。
銀行を60歳で定年になった後に資格を活かして、日光や箱根の通訳ガイドとして働いた。
また、父親は死ぬ間際に広辞苑を買ってくるように著者にお願いした。
死ぬ間際でも広辞苑を読んで学び続ける姿勢。
父親はそのまま死んでしまったようだが、広辞苑の第4版は著者の宝物になったと言う。
ルターの言葉で以下のようなものがある。
例え明日、世界が滅亡しようとも、今日私はリンゴの木を植える。
宗教改革者でプロテスタント教会の源流を作ったとされるルター。
彼は今自分にできることを精一杯やることの大切さを教えてくれるのです。
メモとレジュメ
著者の池上氏は東工大のリベラルアーツの教授でもあります。
彼の大学でのレクチャーの工夫は本書でも記載されており面白く読ませていただいた。
メモとレジュメの話。
彼は授業の前に、レジュメを配るそうです。そこには、
- 「アメリカは宗教国家」
- 「大統領は首相とどう違うのか」
など6−7個のテーマが記載されている。
これを見るとどう言うことだろう?と気になりますよね。
このテーマの下にはメモを取るための空欄が設けられているのです。
授業の間に先生がテーマに沿ってお話をするのでそれをメモしなさい、と言うわけです。
もし私が生徒だったら、レジュメを見てどう言うことだろう??と事前にネットで調べ仮説を考えておきます。
自分なりの仮説をもとに、先生の言葉を聞いて差分を埋めていく。
こうすることで自分が授業に積極的に参加できるし内容も定着するはず。
小さい工夫ですが授業を面白くしてくれる秘訣が詰まっているのです。
ショーペンハウエル
ショーペンハウエルは「読書について」で以下のように語っています。
読書は、他人にものを考えてもらうことである。本を読む我々は、他人の考えた過程を反復的にたどるに過ぎない。習字の練習をする生徒が、先生の鉛筆書きの線をペンで辿るようなものである。だから、読書の際には、ものを考える苦労はほとんどない。自分で思索する仕事をやめて読書に移る時、ホッとした気持ちになるのも、そのためである。だが読書に勤しむ限り、実は我々の頭は他人の思想の運動場に過ぎない。
読むだけでは、ザルで水を汲んでいるようなもの。
大事なのは読んだ後に自分で思索(しさく)することだと言います。
「思索」と言う言葉。あまり使ったことがありませんが調べてみると、以下の意味があるようです。
秩序立てて考えを進めること。物の道理をたどって考えていくこと。
つまり、本で得た事柄について自分なりに順を追って考えることが大事なのか、と思います。
何かを読んで心が動いたならその理由を述べればよいし、批判したくなったら理由立てて批判すれば良い。
著者の意見に対して自分なりの意見をぶつけてみることが必要なのだと解釈しました。