「自分の小さな「箱」から脱出する方法」、アービンジャー・インスティチュート著、読んでみました。
概要
この本で描かれている箱とは何のことでしょうか。人は自分のやるべきことをしないと箱の中に入ってしまいます。例えば、飛行機で隣の席が空いているのに人に譲ろうとしなかった時、赤ん坊が夜中に泣いているのにあやしに行かずにそのまま寝た時。やるべきことが分かっているのにやらなかったり自分の感情に背いた時は、自分を騙しています。これを自己欺瞞と言います。
自己欺瞞をしてしまうと自己正当化するようになります。赤ん坊の泣いている例では、あやしに行かなかった理由として自分は良き父であり被害者であると考え、妻を怠け者で鈍感だと思うようになります。箱の中に入ると自己正当化するために自分に都合の良い理由を考え、相手を攻めるようになります。互いを非難し合い箱の中にいる口実を作ってしまうことを共謀と言います。
ビジネスにおいてリーダーなどの上の立場の人が箱の中に入ってしまうと様々な問題を引き起こします。箱の中に入ったリーダーは他の人を箱の中に入れ、互いに批判し合います。共謀は病原菌のように会社に蔓延し、コミュニケーションの問題、ストレス、モチベーションの低下、積極性の欠如を引き起こします。会社自体が腐っていき、社員は業績向上に気持ちを集中させることができなくなってしまいます。
それでは箱の中から外に出るにはどうすれば良いのでしょうか。それは相手を尊重すべき一人の人間として見ることです。人を無能だと考えない。自分が間違っているかもしれないと認識を改める。人に抵抗するのをやめる。相手の意見を尊重し何かをしてあげる。人を物として見るのではなく、人として尊重することで、箱の中から外へ出ることができます。
感想
自分の箱に入り相手を批判すること、相手を非難し自己正当化すること、共謀を続けることで自分が本来やるべきことに気持ちを集中できなくなってしまいます。
これは仕事だけでなく、家族の問題にも当てはまります。
ザグラム社の社長ルーは、息子が逮捕されたことをきっかけにアリゾナの施設の研修を受けることになります。
彼はそこで「箱」の概念を発見しました。
自分が箱の中に入って息子を非難し続けたのが原因で息子は非行を繰り返していたのです。
部下の意見を尊重しなかったルーの会社も共謀の病原菌に侵され、部下は次々と辞職を出しました。
箱の存在を知ったルーは部下の意見を尊重するようになり部下の退職を全力で食い止めることに成功します。
彼は箱の考え方を会社の重要な研修プログラムとして設置しました。
ちなみに、このザグラム社は実在しない企業のようなのであくまでこの本の中での理想の会社ということになります。
英文の翻訳にしては読みやすい本で、まとめるのが楽でした。
仕事も家庭も成功するかどうかは箱という1つの問題で決まるってことですね。