日本電産 永守イズムの挑戦

満足度:★★★★(88点)

日経ビジネス人文庫を読むのは初めてかもしれない。流石新聞社だけあって、文章は素人の私でも読み易いように書かれている。アマゾンで見つけて中古の本を100円もしない価格で購入して読んでみたが、大満足だった。

日本電産は何の会社か?この疑問に答えられる人は少ないだろう。実は私も何をしている会社なのか知らなかった。モーターの会社だ。モーターは実は色んな場所で使われている。日本電産はHDD(ハードディスクドライブ)用モーターのNo.1シェアを誇る。HDDのモーター?正直私は、HDDにモーターが搭載されていたのを知らなかった。確かにCDを入れると回転する。モーターが入っていたのか。パソコン用のHDDというと、シーゲートや日立の製品が思い浮かぶが、これらのトップメーカーにモーターを納入しているのが日本電産なのだ。

他にもハイブリッドカー、電気自動車が普及すれば、モーターの需要は2010年以降さらに伸びると予想。日本電産は自動車部品会社ヴァレオのモーター部門を買収した。ハイブリッドカーにはエンジンだけでなく、駆動系モーターが使われている。駆動系モーターは1回の充電で何キロ走るかが重要となる。

日本電産は車そのものを作るメーカーよりも、部品メーカーが儲かるようにしたいという。CPUを作っているインテルは、パソコンを作るメーカーよりも儲けている。

この本のメインテーマである三協精機製作所の再建ドキュメントが面白い。永守氏は手弁当を持って三協精機の従業員とランチをしたそうだ。ランチ代は永守氏のポケットマネー。全社員のランチを用意したら相当な額に上るのではなかろうか。一緒に飯を食べると、従業員からは、「休憩時間に椅子が足りない」「作業服が格好悪い」「立ち作業がしんどい」と素直な意見が出てくる。彼はそれを1つ1つ解決したのだ。

日本電産が大事にしているのが3Q6Sの考え方。整理整頓ができている会社は儲かっている。本当か?と疑いたくなるが、整理整頓ができていると①モノを探す時間が短縮されて生産性が上がる②部品の管理が行き渡るため在庫負担が減る。のが理由らしい。この考えに基づき日本電産は工場の整理・整頓、清掃が出来ているかを細かくチェックする。買収前に三協精機の工場を監査した時には100点満点中5点だった。改善のために、トイレの清掃を三協精機の役員や従業員が行うようになったというから驚きだ。

永守氏が人物を採用する時には、能力よりもやる気のある人を採用する。京都大学卒のA君と五流大学卒だがやる気のあるB君であれば、B君を採用してきた。人の能力に5倍も差はないが、やる気のある無しでは100倍以上の違いが生まれる。

1匹の狼+49匹の羊と、1匹の羊+49匹の狼を戦わせれば、1匹の狼のグループが勝つ。リーダーの強さがそのグループの勝敗を決する。

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