まんが超訳 論語と算段、渋沢栄一、光文社、2020年1月初版第1冊発行。
付箋数:5
満足度:★★★
2024年から1万円札が渋沢栄一になります。
渋沢栄一は明治から昭和にかけて日本の産業や実業界を育んできました。
なぜ渋沢栄一がこのタイミングで1万円札として採用されたのか。
渋沢栄一の玄孫である渋沢健さん(コモンズ投信会長)はこのように話しています。
「今、格差社会の元凶として資本主義への反発が広がりつつあります。
そんな最中に、日本は最高額の紙幣の顔として「日本の資本主義の父」を選びました。
外国人が新しくなった一万円札を見て、プロフィールを調べた時に、
「道徳経済合一説を唱えた人」と説明できる意義は大きいと思います。」 (P136)
道徳経済合一性というのは現代風に言うと、サステナビリティのことです。
サステナビリティのためには、算盤勘定だけでなく道徳が必要です。
経済と道徳は、車の両輪のような存在でどちらも必要不可欠です。
本書で登場する竹田和平さんは現代の渋沢栄一と呼ばれています。
武田さんはマルコボーロで有名な武田製菓の創業者で、上場企業100社
以上の大株主となって、日本一の個人投資家と呼ばれています。
その投資スタイルは、短期売買で利益を稼ぐのではなく、日本の未来を担うであろう
企業の株を長期に持ち続け応援していくもの。
100社を超える企業を金融面で支え続けたのです。
もし渋沢栄一が生きていたら今の日本をどう思うか。
この問いかけに対して本書では面白いことが書かれています。
めちゃくちゃ怒るでしょうね。
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投資でも消費でもいいから、とにかく使ってくれと熱く叫ぶと思います。
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日本はお金という資源がこんなにもあり、人材も能力もあるのに、なんでそれを生かさないんだ! (P139)
「タンス預金が50兆円を超える日本ですが、これらは経済価値も社会価値も生まないお金です。」
と渋沢健さんは言います。
「経済価値を生まないお金」という言葉はさすが投資会社の会長の言葉だなぁと思います。
貯金するのではなく、投資や投資信託をして社会に貢献することが大事であると言いたいのではないでしょうか。
サステナビリティを意識した会社への投資。
これがこれからの日本の基盤を支え、世の為、人の為になる第一歩ではないかと私は思うのです。