脳を鍛えるには運動しかない!

概要

ネーパーヴィル・セントラル高校の実験を通じて、運動をした生徒の成績は格段に上がることが分かった。運動をすることは失敗から学ぶ能力も向上させる。運動はストレスの解消にもなり、殴り合いなどの喧嘩を防止する効果もある。ニューロンにBDNFを入れるとニューロンは新しい枝を伸ばし学習に必要な成長を遂げる。運動するとBDNFが分泌され学習効率が上がる。

人は慢性的にストレスを感じるとコルチゾールが分泌され、脂肪をお腹周りに蓄えようとグルコースを含むドーナツなどを欲する。ラットがグループから孤立するとストレスが溜まるのと同じで、人間も孤立するとストレスが溜まる。運動をすると人は社交的になり、正しいストレスの軽減方法でストレスを減らせる。有酸素運動をするとBDNF、セロトニン、ノルアドレナリン、ドーパミンの分泌量が増える。

不安障害になると脳は常に恐ろしかった時の記憶を再生する。警報解除信号が適切に動作しないようになる前頭前野が扁桃体をコントロールできていないのが原因だ。不安障害の患者の脳をスキャンすると、前頭前野内の扁桃体に停止信号を送る部分が小さすぎることがわかった。過度に興奮した扁桃体は、何でもない事を生命を脅かすような危険とみなし記憶に焼き付ける。やがてその記憶は繋がっていき雪だるま式に不安が増えていく。不安を駆逐するのにBDNFは有効なため、運動をしてBDNFを増やすことは不安を解消することになる。

運動は鬱にも効果を発揮する。コルチゾールが海馬内のニューロンを攻撃し破壊してしまうため、鬱になっている人の海馬は健康な人と比べて小さい。海馬のニューロンが破壊されることにより脳中でネガティブな記憶を繰り返してしまう。ネガティブな思考から抜け出し、新しいことを学習するためには、運動すると良い。運動をするとBDNFや他の神経伝達物質が分泌され、ニューロンが破壊されるのを防ぎ、がんじがらめの前頭前野を解放する。私たちの脳がネガティブな思考に陥った時にそこから抜け出すことができる。健康ガイドラインでは毎日30分程度の有酸素運動をするのが良いとされている。

アンチエイジングのためにオメガ3脂肪酸を摂取すると良い。オメガ3脂肪酸は、サケ、タラ、マグロのような遠洋魚に含まれている。トランス脂肪酸、動物性脂肪は有害だが、魚に含まれるオメガ3脂肪酸は体に良く躁うつ病やADHDの治療にも使われる。血圧とコレステロール値を下げ、免疫力とBDNFレベルを上げる効果もある。

感想

アマゾンで見つけて2100円で購入、届いてみたら分厚い本で驚いた。大学の先生が書いている本であって内容は硬派。英語の論文が紹介されていて専門用語も多く出てくる。

ストレスが溜まっている人、不安障害を持っている人、薬物依存症の人、うつ病の人などの心の問題を抱えている人にとって、運動は万能薬とも言える。健康な人にとっても運動は脳のミラクルグロ(肥料)であるBDNFを増やし学習効率を上げる。ネーパーヴィルの高校生の成績が上がったことからも運動の学習効率アップが証明されている。

この本の良いところは脳内の仕組みを説明している点。感情を表す扁桃体、扁桃体をコントロールする前頭前野、記憶を司る海馬などの脳内のパーツの関係性が巧みに表現されている。例えば、不安障害の人は前頭前野の扁桃体に指令を送る部分が小さくなっているのが原因で、不安をコントロールできなくなると説明されている。

私自身、仕事のことでよくパニックになったり不安で仕方なくなることがあった。休みで家にいる時など会社の仕事の不安が頭から離れないこともあった。不安障害なのかどうかは分からないが、サラリーマンであればこのような経験がある人はいるのではないだろうか。そんな時にこそ運動をしてBDNFやセロトニンを増やすことで不安を解消できる。

会社に行くのが憂鬱な日曜日。様々な事を考えて鬱っぽくなることもある。そんな時に、なぜ鬱の状態になっているのかをこの本が教えてくれた。海馬のニューロンが破壊されてしまっているのである。何もしたくない状態になり、冬眠に入るように脳が求めているのだ。この状態になると常に脳内でネガティブな思考のスパイラルが発生する。この状態から抜け出すための方法は1つ。運動をしてBDNFや他の神経伝達物質を増やしてニューロンが破壊されるのを防ぐのだ。