世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン

世界一豊かなスイスとそっくりな国ニッポン、川口マーン恵美、講談社+α新書、2016年11月発行。

概要

  • スイス人とドイツ人は仲が悪い。
  • スイス人の年収はドイツ人の2倍程度あるが、その分物価が高い。
  • スイスではゴミ袋が1袋100円もする。
  • ドイツの経済学者マックスウェーバーは、カトリックよりもプロテスタントの方が裕福で教養があることを発見した。
  • 直接民主主義ではレファレンダムと呼ばれる国民投票があるため政治に緊張感をもたらす。
  • スイスでは国民が署名を10万集めれば憲法改正ができる。レファレンダムの1つで国民イニシアティブと呼ばれる。
  • 月に26万円もらえるベーシックインカム制度は77%の高い割合で国民が否決した。
  • 日本でもドイツでも議会制民主主義が採用されている。日本では政治に詳しくないタレントやスポーツ選手が代表者として選ばれている。
  • スイスの輸出産業の1位が薬品、2位が時計、3位が機械。時計の95%は輸出される。
  • スイスの物価は高い。ビックマックの値段を比較すると日本では370円、スイスではその2倍の値段だ。
  • 欧州の財政危機によってユーロの価値が下がった。その結果スイスフランが大量に買われフラン高を引き起こしている。
  • スイス国立銀行はこれ以上のフラン高を防ぐために大量のユーロ買いを行った。
  • ドイツ国内のユダヤ人はナチスの虐殺から逃げようとスイスに亡命しようとするが、スイス政府は入国を拒んだ。1995年スイス政府がこれを謝罪した。
  • 第2次世界大戦中、ナチが周辺諸国から奪った金塊をフランで買っていた。ドイツ政府やユダヤ人の貯金がスイス銀行にあるため、スイス人は銀行の話を避ける。
  • 第2次世界大戦中食料自給率52%だったスイスは、農業の専門家ヴァーレンが農地を広め食料自給率を70〜80%まで増やした。その結果食糧難になることはなかった。
  • スイスの農業は観光業である。関税を撤廃すると自国の農業が潰れてしまうため、補助金を出すことで農村の景観を守った。牛を飼っていると補助金が増える。
  • ローザンヌホテル経営科大学では、ホテルでのおもてなしやビジネスを学べる。卒業までに1600万もかかるが世界各地から応募者が殺到している。
  • スイス孤児の多くは里子政策の下で悲惨な人生を送った。アルプスの少女ハイジもスイス孤児であった。
  • 永世中立国であるからこそ強靭な軍隊を保持している。
  • 瀕死のライオン像は、フランス革命中ルイ16世とマリーアントワネットを守るスイス傭兵のシンボルである。
  • バチカンの法王を守っている近衛兵はスイス兵。
  • スイスの男性は兵役の義務があり兵役が終わった後も銃を家に置いている。
  • スイスには家の地下に核シェルターを作らないといけない法律があった。
  • スイスでは1/4が外国人で、特にEUからきた外国人が多い。スイスの銀行員も1/4は外国人。単純労働だけでなく高度な専門知識が必要とされる職業も外国人に依存している。
  • 雇用主からすれば移民は低賃金で雇えるためメリットしかない。スイスの賃金は高いので働く移民のメリットも大きい。
  • スイスでは水力電気(川の流れや格差を利用した発電)が58%、原子力が36%のエネルギー比率である。
  • イタリアはチェルノブイリの教訓から原発を廃止、フランスからスイス経由で電力を輸入している。そのためイタリアの電気料金はとても高い。
  • 日本製鉄所の圧力容器は世界一。ドイツの原発でも使用されており高い信頼を得ている。

感想

スイスに行ったことがない私だが、スイスの国の事情を楽しく学ぶことができた。

文章は短めで私の素人でも読みやすい。

壮大なアルプスの風景をGoogle検索で探しながら、この本を読んでいるとなんとなくスイスに旅行している気分になれた。

スイスのイメージは時計、チーズ、アルプス山脈、ハイジだ。

1度でいいからスイスへ行ってみたい、この本を読んでいてそう思った。

日本は農業自給率やエネルギー政策についてスイスを見習った方が良いのではなかろうか。

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