俺の考え (新潮文庫) (日本語) 文庫 – 1996/4/25
ホンダ創立者、本田宗一郎の本。発行は1996年ですが、執筆は昭和37年。
昭和37年といえば、戦後の高度経済成長期。設備投資が盛んな時期。
彼は必要ないものにでもジャブジャブお金を使う設備投資は意味がないと言っており、本当に必要なものにだけお金をかけるべきだと警報を鳴らしている。
本田技研と聞くと技術のイメージがあるが、技術は手段であって本当に大切なものは人間の思想である。
人間の思想を無視した企業の例として国鉄を取り上げている。乗せてやるぞ、というような態度で経営している限り、国鉄の事故はなくならない。
国鉄のように圧力団体になってはいけない。
研究所は博士製造所ではない。博士を何人も製造するのではなく、商品を製造すること。それでないと意味がない。
値下げをする前に、他よりも優れ、特徴がある製品を開発すること。ホンダのスーパーカブはドイツで8〜9万円と、他のバイクの2倍の値段だが売れている。
技能を頼りにしてはならない。工場の仕事は誰でもできるように分解して、新しく入ってきた人がすぐに生計を立てれるようにするべきだ。
日本の権益は失われた。戦前は紡績工場で女工を働かせ、安い製品を作って輸出していた。民主的になり労働組合ができた現在ではそれは許されない。
人口が多いからと言ってものが売れるわけではない。インドでは人が裸足で歩いている。あれじゃ車が売れるわけがない。住居の広さに基づく商業地図を作るべきである。
自分のために働け。会社のために自らを犠牲にするのではなく、会社は自分の生活を楽しむための手段として考えるべきだ。