「やりがいのある仕事」という幻想 (朝日新書) Kindle版
ブックオフで百十円で購入。働くことに夢や希望を持ち、仕事は自己実現の場所だと本気で思っていた新卒の私。
しかし、7年ほど働いて仕事に夢や希望なんてものはないと思うようになった。
仕事はお金を稼ぐ手段であり目的ではない。
自分の生活を潤すための手段なので、嫌な仕事やつまらない仕事であってもこなす。
本田宗一郎も言っていたが、戦時中の愛国心を持った兵隊のように仕事に打ち込む必要はない。仕事は自分の人生をエンジョイするためのものだ。
私はそう思っているので、この本のタイトルを見た時に、気になって買ってみた。
この本の言いたいことはシンプルだ。
- 仕事をしているから偉い訳ではない。
- 人の価値と仕事は無関係だ。
- 親の財産を相続していて働く必要がないのなら働かなければ良い。
- 職業に貴賎はない
読んでいて面白い言葉が出てきた。
仕事というものは、今どんな服を着ているのか、というのと同じくらい、人間の本質ではない。(P16)
著者は子供がどんな仕事についているかも知らないという。
世間では、どんな仕事について、どんだけお金を稼いでいるか、ということを気にする人が非常に多い。
同窓会にいけばどの企業に勤めているか、直接聞いてくる人もいる。特に男性に多い。
そんな世の中だから、良い大学を出て良い企業に就職出来なければ落ち込むし、企業から逃げることが出来ずに過労死自殺してしまう人が出てくる。
だけど筆者が言うように本来仕事とその人の価値は無関係である。筆者はこの概念を「憲法」として自分の中で定めることを推奨している。
仕事をしているから偉いと言うわけではない。
そういえば、勝間和代さんが現代人は労働一神教の信者であると言っていたのを思い出した。
現代人は、職場が自分のアイデンティティを確立する場所であり、上司に認められることが全てだと考えている。
働くことは偉くも何とも無いし、職場で認められる必要も全く無い。
人生に大事な考え方を気付かせてくれたこの本に感謝する。