諦める力 〈勝てないのは努力が足りないからじゃない〉 (日本語) 単行本 – 2013/5/30
著者は花形である100mから400mハードルに変更し成果を出した。
100mを諦めることによって、自分が得意な400mハードルで成功したのだ。
もし100mを諦めていなかったら、成功はしていないだろう。
諦めるというのは決して悪いことでは無い。
「諦めずに頑張ったから成果が出ました。」
と言う選手がいるが、諦めずに頑張っても成果が出なかった選手の方が圧倒的に多い。
失敗した人たちの声は表には出てこないのだ。
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「諦める」というと聞こえが悪いが、要は「適切な選択をしている」のだ。
100mだろうが、400mハードルだろうが、メダルの価値は変わらない。
自分が得意なフィールドで勝負した方が楽しいしその方が成果が出る。
しかし、日本では頑張るのが美徳とされているのため、壁にぶち当たってもそのまま突き進んでしまうのだ。
この「適切な選択をする」というのはその人の頭の良さでもあると思う。
例えば、大学入試。
一般入試で入ろうが推薦入試で入ろうが、合格は合格だ。
で、あれば自分が受かりやすいルートで合格を取るのが、頭が良い選択肢と言える。
就活も同じ。
大学推薦(リクルータ推薦)だろうが、一般公募だろうが、入社してしまえば同じ。
であれば、一般公募ではなく合格率が高い大学推薦を得て内定を獲得した人は要領が良いし、頭が良い人だと言える。
つまり、目標を達成するために容易なルートを選択できるかが大事なのである。
今まで頑張ってきたことを捨てるのは勇気がいる。
しかし、茨の道をずっと進んでもその先に成功はない。
第二次世界大戦で敗戦がわかっていながらも戦争を続けたことで原爆が落とされ何百万人という犠牲者が出た。
もう少し早く降参していれば、数百万人の命が助かったと言われている。
電通事件で自殺した社員はまだ1年目だ。
東大卒という肩書があればいくらでも転職先はあるし、転職先で成功する可能性も十分あった。
しかし、膨大な労働時間にも関わらず「自分にはこの会社しかない」という考え方から抜け出すことができずに痛ましい事件につながってしまった。
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大事なのは自分の前に立ち塞がった壁がある時にそのまま突き進むのはなく、他の選択肢やフィールドを探すことなのである。
著者は自分が戦えるフィールドを探すことを「戦略」と呼んでいる。
陸上選手だろうがサラリーマンだろうが受験生だろうが、自分が戦えるフィールドを探すことは大事なのである。
私は他の選択肢を探すことができる人こそが頭が良く能力が高い人だと思う。